3月5日(日)、実に4年ぶりに丹波篠山ABCマラソンが開催されました。4年前の第39回大会は僕にとって初サブスリーを達成した記念すべきでしたが、その後、コロナ禍により大会は3回連続で「オンライン開催」という名の事実上の中止を繰り返し、その間に元号は平成から令和になり、開催地の市名は「篠山」から「丹波篠山」に変更され(結果、大会名も変更)、僕のフルマラソン自己ベストも4分以上更新されています。


初めてサブスリーを達成できた聖地の篠山で満を持して大会が復活するのですから、本来なら意気揚々と出走するところですが、昨年来、さまざまな理由が重なって練習量が落ち込み、走力が長期低迷している状況のため、エントリーはしたものの実際に走るかどうかは前夜まで悩みました。しかし、篠山のあのコースを走りたいという気持ちと、12月の加古川に続いて今回も出走を回避したらフルマラソンを走る勇気がもう二度と湧いてこなくなるのではないかという危機感とに背中を押され、出走を決意しました。


コロナ前と同じように、7時前に三宮発の直行バスで篠山に向かい、8時過ぎに丹波篠山市民センター到着。日程を確認。


市民センターから徒歩で会場へ向かい、健康チェックシートを提出。急いでおにぎり3個の朝食と排便を済ませます。篠山はこの朝食・排便のタイミングが自分のペースでできないのが毎回もどかしい(前泊すれば解決するのですが)。



9時過ぎからシューズを履き替え、計測チップを装着し、ベンチコート・ウインドブレーカーを脱ぎ、荷物を預け、最後のトイレを済ませ、9時半頃からAブロック入り口付近で軽くアップをしながら待機。9時50分からプレ開会式。法政大学陸上部出身で箱根駅伝で給水係を務めたというABCテレビの新人アナ平野さんがサブ3を目指すと宣言して盛り上がる。10時になってブロック入場開始。最前列をキープ。そこへ平野アナが現れ、GoPro(?)を持ったスタッフと僕の目の前でやり取りを続けていました。スタートまで時間があるので、周りのランナーの足もとをチェックしましたが、ナイキとアシックスが多数派で、アディダスもそこそこ、他のメーカーのシューズもちらほら見かけましたが、ミズノはいません。ワラーチすらいるのに、Wave Duel3はいません。不思議な孤独感に襲われます。


10時50分、未登録の部スタート。思ったより快調な滑り出しだと気をよくしたのも束の間、1kmすぎた辺りで、左のシューズの紐がほどけて結び直すアクシデント。しかしここはすぐにリカバリーでき、体力的に影響はなかったと思われます。


10kmくらいまでは4年ぶりの篠山の景色を楽しむ余裕もありました。東京のビルの中を走るよりこっちのほうが絶対に気持ちいいと思うんです(東京マラソンをディスっているわけではありません)。


10kmすぎあたりから、足の裏が痛くなってきました。正確には足の裏の皮膚です。今回、レースで初めて5本足ソックスを履いたのですが、裏目に出たようで、完全に靴下ずれを起こしてしまいました。この後、30kmにわたってひたすら痛みに耐えることになります。


12kmあたりで平野アナに抜かれました。後ろ姿を見ながら、さすがにフォームが綺麗だと感心・・・している場合ではなく、このあたりから早くも脚が重くなり始めました。練習量の少なさはやはり覿面にあらわれます。


この状態で後半のアップダウン地獄へ突入。頭の片隅に「棄権」という言葉が浮かぶのを必死で打ち消します。苦しいのは自分だけではないらしく、遥か前を行っていたはずの平野アナが失速したようで、25kmあたりで追いつき、抜いてしまいました。しかし、失速しているのにフォームは相変わらず綺麗です。


31km過ぎの折り返し以降は、ただただ地獄。31.5kmで右足小指がつってストップ。なんとか再開するものの、練習で距離を踏めていない影響で腹筋と背筋が限界に達し、フォームを維持できません。足裏の皮膚の痛みももう限界を超えています。


何度かストップしながら必死でゴールを目指しますが、41km過ぎに左ふくらはぎが盛大にこむら返りを起こし大大ブレーキ。右の外反母趾がつりそうになって急にストップしたために左ふくらはぎに不自然な力が加わってこむら返りを起こすというパターンが初めてレース中に発生しました。もはやレースとしては事実上終了です。しかし、残り1kmで棄権などあり得ません。左脚をひきずるようにしてランを再開すると、メロスの言葉が頭をよぎりました。


間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。


ラスト1kmを耐え抜き、3時間3分でガッツポーズのないゴール。セリヌンティウスもディオニス王も群衆も待っていませんでしたが、とにかく完走しました。


しかし、本当の地獄はまだこれからでした。ゴール後、完走の証の「陶メダル」をいただき、しばらく坐って休んでいましたが、両足ふくらはぎの筋肉がピクピク痙攣し続けているのがはっきり見えました。しかし、とにかく預けている荷物を受け取って上着を着なければ体が冷えると思い、立ち上がって歩き始めたところで、右足がつって倒れ込んでしまいました。近くにいた救護スタッフが駆け寄って来てくれ、救護テントへ移動。初めて救護テントのお世話になってしまいました。


ボランティアスタッフの柔道整復師の方が念入りにマッサージし、温めてくれたのですが、よくなったと思いシューズを履こうとすると再びこむら返りを起こすことを何度も繰り返してしまいました。スタッフの方が根気強くケアしてくれたおかげで何とかこむら返りはおさまり、救護テントを後にすることができました。申し訳ない気持ちとありがたい気持ちでいっぱいです。


帰りの直行バスが駐車している市民センターまでかなり距離がありますが、歩いて行くしか方法はありません。ふくらはぎに力が入ると痛みが出るうえに攣りそうになるので、ふくらはぎを使わずに歩くしかなく、その結果、ペンギンみたいな歩き方になります。恥ずかしさと情けなさに耐えつつ何とか市民センターにたどり着き、バスに乗り込みました。行きのバスではずっとタブレット端末で本を読んでいましたが、帰りはひたすら目を閉じて苦しさに耐え続けるのみでした。


タイムは自己ベストから程遠く、サブスリーも死守できなかったので、達成感や満足感はあまりありませんし、これまでで最も苦しく、最も体へのダメージの大きかったレースなので、楽しかったとも到底言えません。しかし、それらは覚悟していたことなので出走したことに悔いはありません。「陶メダル」の重さは初サブスリーを達成した4年前よりも重く感じます。


かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂


ともかくもこれで今シーズンに区切りをつけることができました。来シーズン必ずリベンジを果たします。


以下、EPSON Wristable GPS J-300による記録です。フル充電しておいたおかげで、最後までもってくれました。なお、公式記録は3時間3分12秒でした。


Distance(距離) : 42.3 km

Time(タイム) : 3:03'16"

Average Pace(平均ペース) : 4'19"/km

Average Pitch(平均ピッチ): 185 spm

Average Stride (平均ストライド): 122 cm

Calories-out(消費カロリー) : 1,856 kcal

Steps(歩数) : 33,928

Average Heart Rate(平均心拍数): 165 bpm (Max : 178 bpm)

Estimated VO2max(推定最大酸素摂取量) : 65.9 mL/kg/min

Shoes(シューズ) : WAVE DUEL3 2代目 Orange (total distance : 130.4 km)

Temperature(気温): 9.5~11.5℃

Wind Speed(風速): 2~3 m/s

Humidity(湿度): 48~54%


3Dマップ走行軌跡

https://youtu.be/DwFsRgw0hc8


MY PERSONAL RECORDS

Full Marathon : 2:54'37" ( 二度目のかこがわみなもフルマラソン 2021.12.19 )

Half Marathon : 1:18'40" ( 2020 UNICEFカップ神戸バレンタインラブラン 2020.2.9 )